突然の告知
「そら豆の会」ってご存知ですか?
2013年7月10日。今から3年11ヶ月前、突然、ガンを宣告されました。思いもしていませんでしたから、人間ドックの結果説明の際、「告知してください」なんて軽く考えて、そのように申告していました。
社長が倒れたなんて取引先に知られたら、弱小零細会社は簡単に吹っ飛んでしまいます。「ハーバードから呼び出しをくらって、急遽ボストンに行くことになりました」なんて言って、すべてのアポをキャンセルし、手術の日程を調整しました(現在も、私の周りの数人しか知りません)。
会社を独立した際、たまたま人に勧められて会員制の診療制度に入っていたため、日本を代表するゴッドハンドが急遽手術をしてくれることになり、5時間寝ている間にすべてが終わっていました。
術後は、看護師さんや若い医者からは「○○先生の切り口ってすごくきれい」と口を揃えて言われましたが、5時間寝ていたので、誰が切ったかなんて、私にはわかりません。ただ、お腹の25センチの傷は、確かにゴルフ場のお風呂で見るおじさんたちの術後の傷よりは断然きれいです。
こういう手術でお腹や胸を切った人たちって、傷を見せたがるんですよね。銀座や六本木の高級クラブでお腹を出してる輩、あれです。そういう私も数度、やってしまいました。
術後は、1ヶ月間は寝たきりでしたが、3ヶ月後には極真空手の道場に戻っていました(でも、結局は組手でお腹も蹴られるので、2ヶ月後には休会してしまいましたが)。
ガンを宣告されるまでの自分を客観視するならば、チームビルディングやコーチングの本を出しているにもかかわらず、鬼軍曹でした。「俺が徹夜してるんだから、みんなも徹夜してでも原稿をあげてこいよ」って言ってました。ブラック企業です。
そら豆の会のブログ
術後、自分で言うのも、ですが、人が変わってしまいました。
冒頭の「そら豆の会」とは、腎臓がんの患者や家族の会なんです。腎臓がそら豆に似ているところからつけられた会の名前なのです。
その会のブログを熟読したところ、腎臓がんの場合は発見が遅くなる傾向にあって、発見後の5年後の生存率は「ゼロ」パーセントというデータを見つけたのです。
主治医にそのことを聞いたところ、「そのデータは何年前のもの?」と聞かれたので、「5年前に書かれたブログで、その時に10年前のデータって書いてました」と答えたところ、「15年間に医療がどれだけ進歩してると思ってるの? そんなデータ、気にすることはない」と呆れ返られてしまいました。
そう言われても、私の気分は、「もう5年の人生かぁ。いやいや、先生がああ言うんだから。。。」と、めまぐるしく変わっていきます。
ところが、3ヶ月ごとに行うMRIやCTの検査結果は、良好。
「ま、どっちになっても悔いのないように」と考えが変わっていきました。
通常は術後5年経った段階で再発していなければ「きれいにがん細胞をとった」ことになります。
しかし、さすがゴッドハンドです。3年が過ぎたところで、「転移・再発はしていない」とのお墨付きをいただきました。
これからの人生を
20代、30代は、がむしゃらに、貪欲に、脳みそに汗をかき続けました。その結果、50半ばの今でも仕事の声がかかるのだと思うのですが、術後の思考は明らかに変わりました。
「5年後の生存率はゼロ」
この言葉が、どうしても頭のどこかに残っています。
好きなことを仕事にしてきたけれども、これからの人生を何のために使うのかを、もっともっと考えていきたいと思います。
そのために、ブログを活用するのもいいかな、と思っています。
ただし、古いブログの危うさも知りました。そら豆の会の15年前のデータに恐れおののいた体験です。
このような多くの人が書き綴るブログは加筆修正が難しいのかもしれませんが、自分が主催するブログは、過去の記事を見直す作業、これの重要性を再確認しました。
まずは自分が元気になる。そのためには、何事もくよくよせず、すべてポジティブに考え、前向きに。それで、読んでくれている人たちが、少しでも元気になってもらえると嬉しいかな。そう考えて、500記事を目指します! (^^)