書評 第1回目は阿部紘久著『明快な文章』(くろしお出版)
ヒョンなことから私の手元に届いた(プレゼントしていただいた)本です。
「文章力は、単なる言葉を操る力ではありません。そこに相手(読み手)をよく理解する力、言葉で的確に表現する力が加わったものが文章力です」(「まえがき」より)
また文章力は、以下の7つの要素から成り立つ能力とも書いています。
1)良いテーマを見つける(着想力)
2)テーマに関わる様々な事象に連想を広げる(連想力)
3)テーマに関わる事象の中で、重要なものと、そうでないものを峻別する(重要度、優先順位の判断力)
4)書くべき重要な事象を、構造的に把握する(原因と結果、理由と結論、重要度、時系列、地理的関係などにしたがって、全体を統計的に理解する力)
5)事実を踏まえた上で、自分独自の考えを組み立てる(創造性、独自性)
6)読み手の立場、心情、知識レベルなどを理解する(人間理解力)
7)言わんとすることを、読み手に伝わる簡潔・明瞭な言葉で表現する(言語表現力)
著者の阿部紘久さんは、1967年東京大学卒業後、帝人に入社。現在は昭和女子大学で文章指導をしているそうです(発行時)。
私の手にしている本は、2007年6月に初版発行、2010年6月に3刷のもの。
著者自身が書き綴った数多くの文章を例文として、掲載。わかりやすく解説をしてくれています。
第2部「表現」の技術論は、再確認する意味でも、とても参考になりました。
特に「修飾語と被修飾語の関係を明らかにする」や「読点のはたらき」です。
第5章「短い文章で書く」の「簡潔な表現」や「重複をなくす」「修飾語を最小限に」は、ぜひ、皆さんにも読んでいただきたい内容です。あまり書き慣れていない方が陥りやすいところですので。
ざっと読んでみて、新入社員の基礎テキストというよりも、かなり初歩(基礎)だと感じました。女子大生に教えているからなのかもしれませんが。